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企業城下町でつらい決断ができるか 

  今年は製造業(特に電機業界)の経営に関して取り沙汰される機会が多いですね。かつて経営の手本とされていた企業が、瞬く間に巨額の赤字を計上するまで追い込まれるとは思いませんでした。商品の廃止、生産ラインの縮小、海外移転、事業譲渡、工場閉鎖と当事者にとっては深刻な状況が、新聞をはじめあらゆるメディアで次々と報道されました。従業員とその家族だけでなく、納入業者(とその家族)、地元経済界、自治体関係者の苦悩は計りしれません。
 一方で一時の成功体験からくる思いこみの経営、過剰な生産設備膨らみきった人員などについてすぐに有効な手段を講じなかった経営体制に対する批判も当然あります。
 
 「そういうときこそ、しがらみのない社外取締役が、投資ファンドが、悪者になってつらい経営判断を行い、企業改革を進めるのだ」という声を身近できいていた時期があります。
 悪者になったかは別にして、たしかに痛みをともなう経営判断を下されました。

 ご存じのとおり大手、準大手の製造業は、企業城下町を形成している例がけっこうあります。
 農村部にある企業城下町はだいたい次のようなあらまし。
 大学を卒業し入社、工場に配属された人間は概ね工場のある地域で配偶者を得て、そしてその地域社会(村落共同体)に組み込まれていきます。婿入りのような形になる者もあるし、会社があっせんする宅地に家を建て、隣近所はすべて同じ企業の人という環境に身を置きます。工場での業務、行事のほかに地域の寄り合い、冠婚葬祭でも顔を合わせ、子どもが育てば学校関係の付き合いが加わる..近所の地元の人も農家の次三男であれば、概ね同じ企業のどこかの工場に勤めているか、納入業者の従業員..本当にこんな感じです。

 さて20年から30年も勤めていれば多少の異動を経験しながら、製造部長や総務部長になり、そして工場長や執行役員、取締役などに昇格していきます。そんなときに不運にも事業不振に陥り、あらゆる努力をしても生産ラインの縮小や事業譲渡、リストラが不可避になったとします。極端な話、隣のご主人や向かいの家の息子さんに通告しなければならないとしたら、決断をしなければならない立場だとわかっていても躊躇すると思います。退職させたにしてもどちらかが引っ越さない限りはずっと隣同士。その後も同じように共同体の中で付き合うことができるか...

 先に書いたように投資ファンドや社外取締役はきっぱりと経営判断を促すなり下すでしょう。ただし決定をするだけです。相対で従業員を膝詰めで説得するのは、社内の取締役をはじめとする幹部社員です。
 決断を誰かに委ねても結局実行からは逃げられないのだとしたらやはり自ら決断するしかないのでは?と思いますが、役員、幹部になったからといって、いきなりご近所の人を平気でリストラできるようなタフな人間になれるとは思えません。
 
 そうなると取締役候補を選び育成する段階からタフな決断ができるように訓練していくしかないのでしょうか。

 いや「痛みを伴う決断」をしないような経営をするように育成するのが先ですね、やっぱり。
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カテゴリ:法務

2012/12/21 Fri. 01:40 -edit- Trackback 0 / Comment 0

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